山陽小野田市のLABVに学ぶ、官民共創によるまちづくり
10月15日、山口県山陽小野田市を訪問し、LABVプロジェクトについて学ばせていただきました。
人口減少や少子化が進むなか、行政だけで地域の課題を解決し、持続可能なまちづくりを進めていくことには限界があります。これからは、行政と民間がそれぞれの強みを生かし、地域の将来像を共有しながらまちづくりを進めていくことが、ますます重要になると考えています。
今回の視察では、公有地と民間の資金・経営力を活用した新たな官民連携の仕組みと、その可能性や課題について学びました。
公有地を生かし、地域全体の価値を高めるLABV
LABV(Local Asset Backed Vehicle)は、自治体が公有地を現物出資し、民間事業者が資金を出資して官民共同の事業体を設立する仕組みです。
従来の公共事業では、行政が事業の仕様を決め、民間事業者に施設の整備や運営を委ねる形が一般的でした。一方、LABVでは、官民が事業体の一員として関わり、民間の経営力やノウハウを生かしながら、地域の価値向上を目指します。
山陽小野田市の取り組みは、平成30年(2018年)、市長と山口銀行小野田支店長が老朽化した施設の更新について意見交換したことを契機に始まりました。その後、国土交通省の支援事業による導入可能性調査や民間事業者への意向調査などを経て、事業化が進められました。
行政だけで考えるのではなく、金融機関をはじめとする外部の主体との対話から、新たなまちづくりの手法が生まれた点が印象的でした。
「Aスクエア」を拠点に、まち全体のにぎわいをつくる
山陽小野田市のLABVプロジェクトの中心となるのが、市民活動センターなどを備えた「Aスクエア」です。
この取り組みで重要なのは、施設を整備すること自体を目的としていない点です。Aスクエアを人々の交流や活動の拠点としながら、周辺約1キロ圏内にある複数の事業用地も活用し、エリア全体の価値を高めることを目指しています。
施設を一つ整備して終わるのではなく、そこから人の流れを生み出し、周辺への民間投資や地域経済の活性化につなげていく。こうした面的なまちづくりの考え方は、非常に重要だと感じました。
実際に、Aスクエアの市民活動センターは、市民の交流や活動を支える拠点として活用されています。令和7年度の利用者数は、交流ホールが延べ約5万4,000人、貸会議室が延べ約3万7,000人とのこと。
また、周辺ではスーパーや飲食店の進出、住宅建設などの民間投資も始まっています。
公有地を単に維持・管理する対象として捉えるのではなく、地域の将来価値を生み出す資源として活用する。この視点は、羽島市のまちづくりを考えるうえでも参考になります。
官民連携を成功させるために必要なこと
一方で、LABVも決して簡単に進められる仕組みではありません。
山陽小野田市では、第2号案件以降の具体化に時間を要しているとのことでした。その背景には、民間事業としての採算性と、行政が求める公共性を両立させる難しさがあります。
公共性を重視することは当然ですが、民間事業者が採算を確保できなければ、継続的な投資や事業運営は成立しません。
行政の要望を一方的に伝えるのではなく、民間の経営上の視点を理解し、双方にとって実現可能な仕組みを考える必要があります。
また、官民連携において、行政が民間に任せきりになってはいけません。
今回の視察で特に印象に残ったのは、行政職員自身が専門知識を身につけ、事業内容を理解し、主体的に判断することの重要性です。
コンサルタントなどに業務を委託した場合も、成果物を受け取るだけで終わるのではなく、その内容を検証し、必要な問いを投げかけられる力が求められます。
民間の自主性を尊重しながらも、行政として公共性を担保する責任を果たす。官民がそれぞれの役割を理解し、対等な立場で協議を重ねることが、持続可能な事業につながると考えます。
羽島市のまちづくりにも、官民共創の視点を
今回の学びを、羽島市のまちづくりにどう生かしていくか。
私が特に重要だと考えているのは、岐阜羽島駅周辺と羽島市役所旧庁舎跡地の活用です。
これらの場所について考える際、単に土地や施設をどう利用するかという発想にとどまってはいけません。
どのような人の流れを生み出し、地域の店舗や事業者の活動を後押しし、羽島市全体の魅力向上や経済の循環につなげていくのか。その視点が必要です。
そのためには、まず羽島市全体として目指す将来像を明確にし、そこから逆算して必要な事業や取り組みを考えることが重要です。いわゆる「バックキャスト」の考え方です。
そして、実現に向けては、行政内部だけで検討を進めるのではなく、市内の企業や金融機関、商工団体、学校、地域団体など、多様な主体と対話する機会を設けるべきだと考えます。
それぞれが持つ知識や経験、資金、技術、地域とのつながりを持ち寄ることで、行政だけでは生まれなかった新しい発想や事業の可能性が見えてくるはずです。
LABVありきではなく、羽島市に合った手法を選ぶ
もちろん、羽島市がLABVをそのまま導入すればよいということではありません。
PPPやPFIなど、官民連携にはさまざまな手法があります。大切なのは、特定の仕組みを導入すること自体を目的にせず、事業の目的や規模、採算性、公共性などを踏まえ、羽島市にとって最適な方法を選ぶことです。
また、施設を整備する場合には、完成後の維持管理や運営まで含めて持続可能性を考えなければなりません。
整備した施設をどのように活用し、誰が運営し、地域にどのような価値を生み出していくのか。事業の初期段階から具体的に検討することが重要です。
さらに、まちづくりの拠点については、子どもから高齢者まで幅広い世代のニーズを把握する必要があります。
市内の学生との意見交換では、乳幼児が利用できる施設はある一方、小学校高学年から高校生が気軽に集える場所が少ないという声も聞かれます。
こうした声も踏まえ、世代を超えた交流や活動を支える場のあり方について、継続的に調査研究を進めていきたいと考えています。
対話から生まれたアイデアを、具体的な行動へ
今回の視察を通じて改めて感じたのは、持続可能なまちづくりには、行政と民間が互いの強みを理解し、将来像を共有することが欠かせないということです。
山陽小野田市のLABVプロジェクトも、市長と金融機関との対話から始まりました。新たな取り組みは、行政内部だけで考えていても生まれないことがあります。地域の企業や金融機関、商工団体、大学、地域団体などとの交流を通じて、これまでにない発想を見いだすことが重要です。
そして、対話の場を設けるだけで終わらせず、生まれたアイデアを具体的な事業へとつなげていかなければなりません。実現するために何が必要なのか、どのような課題があるのか、どのような仕組みなら継続できるのか。行政も主体的に考え、民間とともに解決策を探り続ける必要があります。
岐阜羽島駅周辺のにぎわい創出をはじめ、羽島市の将来につながる取り組みについて、官民共創の可能性をさらに探っていきたいと思います。
羽島市を元気に。そして、次の世代に誇れるまちへ。
これからも現場で学び、地域の皆さまの声を伺いながら、持続可能なまちづくりに向けた提案と行動を重ねてまいります。



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