おはようございます。
羽島市議会議員の河﨑周平です。
今回は2024年6月定例会における羽島市議会一般質問について、質問の内容と意図についてお話しさせていただきます。
羽島市をより良い街にするための一歩として是非ともご一読ください。
子育て支援としての産後ケアについて
標題1にて質問させていただきます「子育て支援としての産後ケアについて」は下記3項目を質問内容として実施させていただきます。
- 転入状況から推察するアウェイ育児についての認識は?
- 子育てにおける産後ケアについての考え、及び利用状況は?
- はじめの100か月の育ちビジョンを羽島市ではどのように捉えているか?
転入状況から推察するアウェイ育児についての認識は?
今回質問の題材とさせていただいているアウェイ育児についてですが、こちらの言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんので簡単な説明からさせていただきます。アウェイ育児とは簡単にいうと「見知らぬ土地で育児をする」という状態を指します。
アウェイ育児となる要因としては、結婚で地元から離れたり、転勤で引っ越しをするなどが挙げられますが、このような状態となると近くに親や友人、顔見知りさえもいない状態で子育てをすることになります。
行き慣れたスーパーや病院もありません。行政サービスを利用したくても、市区町村によって異なるサービスに戸惑います。結果、アウェイ育児では『疎外感・孤立』を感じやすい状態になりやすくなります。
「助けて」と言える場所や自分の居場所がなかったり、かといって逃げることもできないアウェイ育児はとても苦しいものと言えるでしょう。
乳幼児の子育て家庭の半数は、親族や友人からの助けを得にくい地域で「アウェイ育児」の状態にあり、自身の子ども以外の子どもに触れる機会も少なく、子育てにより孤立したり、子育てへの不安や負担を感じたりしているのが実情です。
このような状況が生じる背景としては、子育て家庭の多くが核家族世帯のため家庭内で子育てへの手助けを得にくいこと、少子化の進行により近隣で他の子育て家庭と出会いにくいことが挙げられます。
20代後半から30代後半の子育て期世帯の約40%は5年間の間に転居し、転居先で人とのつながりを含め新たな子育ての体制をつくり直す必要があること等が挙げられます。
また、子育て期にある家庭は、子どもの発達に応じてライフステージが数年ごとに変化することが多く、その過程において仕事、疾患や障害、経済状況、夫婦関係、親子関係など様々な要素が絡み合う中で、生活と仕事や心身のバランスを保ちながら子育てをしています。
少しの負荷がかかると、ただちにそのバランスが崩れ、夫婦関係や親子関係に葛藤が生じやすくなり、虐待など不適切な養育に至ることは容易に想像できます。
虐待まで至らずとも、親子関係や子育てについて悩み、生活や子育てに余裕がなくなることもあります。現在の育児環境において、このアウェイ育児は子育てに対する不安や負担において大きなファクターとなっていることは間違いありません。
そして、羽島市においても同様に課題として考えなければならないことです。
2024年3月に更新された岐阜県環境生活部統計課の「統計からみた羽島市」においても、転入・転出の割合においては、職業や結婚などの縁組における20~30代での転出が多い反面、20~30代での住宅事情での転入が多く、結果として転入超過となっております。
本市の人口が増えることは大変良いことですが、反面、数字から見える部分として市外や県外から移って来られる方も多くいることがわかります。
もちろん、元々ご実家が羽島市にあり、住宅購入の際に戻ってくるというケースもありますが、それ以外には交通インフラなどの利便性を良しとして移り住むケースも見受けられます。このように他市町から移り住む方が羽島市で子どもを出産する場合などに、今回議題とさせていただいておりますアウェイ育児の問題が浮上してくるわけです。
そこで、一点目の質問をさせていただきますが、本市において転入者の方が増えている一方で問題視されるアウェイ育児についてどのようにお考えなのかをお話しいただけますと幸いです。
行政からの回答
市では母子健康手帳の交付時、妊婦に支援者の有無をはじめ、生活状況、妊娠、出産への想いなどを聞き取り、出産に向けての準備、利用できるサポート、支援の確認、出産後のイメージを共有しています。
その中で、近くに頼れる人はいないが、産後にはご主人が育児休暇を取得し、夫婦で育児をしてくれるという話しや、遠くへ里帰りをする、もしくは遠くから親が支援に来てくれるといった話しや頼れる人がなく、出産時にどう対応したらよいか不安であるといった相談もあり、市内で生まれ育った方ばかりでないことは十分認識しています。
そのため市の子育て関連施設やサービスの紹介をする際には、より丁寧な説明に努めています。
子育てにおける産後ケアについての考え及び利用状況は?
先ほどは子育てにおける家庭環境について、アウェイ育児という状態が発生している件についてお聞かせいただきました。
アウェイ育児による親御さんの不安や負担を解消するために必要なこととして、産後ケアの重要性が挙げられます。
産後ケアは、0歳児のいる母親が心身を休められるように、自治体から委託された助産院や病院が育児を手伝ったり、相談に乗ったりする事業になります。
こちらの事業における実施方法としては、3点あろうかと思います。
まずは「宿泊型」、これは病院や助産所などの空きベッドの活用により宿泊による休養の機会を提供するものになります。
次に「デイサービス型」、これは個別や集団での支援を行える施設において、日中来所した利用者に対して実施するものになり、保健センターなどへ通所する形をとります。
最後に「アウトリーチ型」、これは、実施担当者が利用者の自宅に赴き実施するものでなり、居宅訪問となります。
2022年度の子ども家庭庁での調査によると、10人に1人の母親に産後うつの疑いがあったとのことです。
これは先ほどの質問でもさせていただいたアウェイ育児、つまり核家族化などを背景に、親兄弟など身近な人の手を借りにくい人が増えていることが要因の一つになっているのではと思います。
このように産後ケアの重要性は明らかではありますが、本市においてこの産後ケア事業をどのように運営されているのか、また昨年度の利用者の実績などが分かりましたら、そちらも含めてお話を聞かせていただけますと幸いです。
行政からの回答
産後ケアは平成30年度から、出産後のお母さんや赤ちゃんが産科医療機関又は助産院で宿泊し、心身のケアや育児に関する相談指導を受けるサービスとして始まりました。
お母さんの体調不良や育児不安があり、ご家族などからの支援が受けられない方を対象にしており、利用者が徐々に増え5年度は5人の方が1泊から6泊の利用をしています。利用の申し出に対し、面談により状況を聞き取り、産後ケアの利用が妥当であると判断した場合に、施設との利用調整を行います。
夜には家族がおり、気持ちも楽になるが昼間一人で育児が不安であるといった声もあり、今年度からは通所型の産後ケアも始めました。
産後ケアのアウトリーチ型という位置づけはしておりませんが、出生したすべてのお子さんのいる家庭に訪問を行っており、日ごろから、相談には常に対応しています。
また、緊急を要する相談があった場合にも、訪問やサポート期間の紹介、利用への支援を行い、子育てにおける相談、支援を行っているところです。
先日のとある新聞記事を拝見させていただいたところ、近隣市町においては「夜間訪問型」の運用を始めるとのことです。こちらは宿泊や夜間などの選択肢を増やすことで「子どもが寝付かない夜間に助産師の手を借りる」「育児を一晩休んで疲れを取る」などの利用を想定している。との考えを発表されておりました。
同様の事業においても子育て環境におけるサービスの差別化を図るとともに、子育てで悩んでいるご家庭において産後ケア事業が使いやすいサービスとなるようご尽力いただけますと幸いです。
はじめの100か月の育ちビジョンを羽島市ではどのように捉えているか?
産後ケア事業も含め、現在子ども家庭庁では幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン として「はじめの100か月の育ちビジョン」を立ち上げられております。
本ビジョンにおいては、全ての人で支えるべき「こどもの育ちの質」について、こども基本法の目指す、こどもの生涯にわたる幸福、すなわちウェルビーイングの考え方を踏まえて整理されたとのことです。
こどもの誕生前から幼児期までの重要性として、乳幼児期は、脳発達の「感受性期」と言われ、脳発達において環境の影響を受けやすい限定された時期の一つであるなど、生涯にわたるウェルビーイング向上にとって、特に重要な時期であるとのことです。
また、生涯の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定されるという考え方もあるなど、「こどもの誕生前」も含め、育ちを支える基盤的時期として捉える必要があります。
さらに、「育ち」の側面と両輪をなす「学び」の側面からも、質の高い幼児教育は長期にわたって影響を与えるとされているなど、幼児期までの重要性は世界的にも確認されている。とのことです。
これらを踏まえ、本市おいて「はじめの100か月の育ちビジョン」をどのように捉えているのかお聞かせください。
行政からの回答
本市においても、「はじめの100か月の育ちビジョン」を踏まえた子育て支援施策を進めていくことは大切であると捉えています。
切れ目なく育ちを支える観点から、「こどもの誕生前」から子育て世帯に寄り添う伴走型相談支援事業を実施しています。先ほど申し上げた母子健康手帳交付時の面談・聞き取りを始め、妊娠8か月時にはアンケートによる状況確認検診や各種事業実施のタイミングにおいても、必要に応じて相談対応するなど、安心して出産及び子育てができる環境づくりを推進しています。
また、小学校就学前後の節目が「切れ目」にならないよう幼保小連携推進協議会が開催されています。今年度は、掘津小学校区で幼保小連携のモデルを作成し、来年度は市内全域に広げていく予定です。
さらに、市内保育園、認定こども園へ各種補助事業を実施する等、保育環境等の充実を図り、ウェルビーイングの向上につながる取組みを行っているところでございます。
今後も子育て支援施策の更なる充実に取り組んでまいりたいと考えております。
【子育て支援に関する考察】
本市においては切れ目ない子育て支援という方針で子育て支援をいただいていること は大変ありがたく、実際に私も子育て世代として各サービスを利用させていただいております。
ただし、今回ご質問させていただいた産後ケアのサービスなど「実際に利用できる期間」を過ぎてから気づく行政サービスも多くあります。
お話しを聞くと「子育てハンドブック」などで情報をいただいているのですが、私のようにせっかくサービスがあるのに見落としてしまい、後から気づく。なんていうこともよくある話しかと思います。
もし可能であれば実際に困っている方へのタイムリーな情報提供をお願いできればと思います。例えば羽島市公式LINEの利活用でこちらの課題を解決する運用も出来ると思います。
現在、公式LINEでは登録者が欲しい情報をチェックすることで該当する情報を提供しています。
これは地区情報など二次元での情報になりますが、子育てにおいては時間軸を踏まえた三次元での情報提供が必要になります。
生後2ヵ月の時期には今回お話しいただいた産後ケア事業を、生後1歳のタイミングでは一人歩きをそろそろ始めるので市内の公園情報を提供したり…と時間軸を踏まえての情報提供をいただけると子育て世帯のニーズに対応した情報提供になると思います。困っていることに寄り添えることが子育てにおいて一番の安心に繋がると思います。
先日、十六総合研究所による2024年4月に行った岐阜、愛知県内の企業の新入社員の意識調査が出ておりました。こちらによると、「子どもがほしくない」と回答した女性の割合が31.4%(前年比12.9ポイント増)と4年連続で伸び、過去最高だったとのことです。
女性にとって経済的負担の増加に加え、仕事を続けにくい職場や家庭環境が子どもを持つことへの不安の一因になっており、企業側にも解消策が求められそうだ。」との記載でした。
子育てにおける不安感は、出生率にも繋がります。是非とも羽島市なら安心して子育てできる。だから羽島市に移住しようと言われるような環境整備をこれからも実施いただければと思います。
市民サービスの向上に繋がる子育て支援の充実、今後もよろしくお願い致します。
出水期を控え羽島市での水害対策について
標題2にて質問させていただきます「出水期を控え羽島市での水害対策について」は下記3項目を質問内容として実施させていただきます。
- 内水氾濫における対策と内水浸水解析の進捗、今後の運用は?
- 将来、道路冠水が懸念される地域への土のうステーションの増設は?
- 豪雨災害における外水氾濫の事前準備と対策は?
内水氾濫における対策と内水浸水解析の進捗、今後の運用は?
羽島市は木曽川・長良川に挟まれ、平均海抜5mの低地帯に位置するため、集中豪雨や台風による浸水被害が発生しやすいという地理的特徴を持っています。
また、昨今、豪雨災害も多くなっており、水害対策は必須になろうかと思います。豪雨災害については、実際にどの程度増えているのかを調べさせていただいたところ、ある調査研究においてはこのような記述を確認することができました。
「日本での大雨発生頻度は、1時間積算降水量や日降水量などを用いた調査結果から統計的に有意に増加していることが示されている。1976年から2020年のアメダス3時間積算降水量を用いて、集中豪雨事例発生頻度の経年変化を調査したところ、その結果、集中豪雨の発生頻度は大きく増加していた。年間の集中豪雨事例の発生頻度は約2.2倍になり、月別では7月の発生頻度が約3.8倍となり、梅雨期の集中豪雨事例の増加傾向が顕著でした。」
参考:集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加している~特に梅雨期で増加傾向が顕著~|気象庁気象研究所 Meteorological Research Institute (mri-jma.go.jp)
との調査報告が上がっています。
本市においては、水害対策、特に内水氾濫対策として、今年度は予算化されているかと思いますので、今回はこちらについて質問させていただきます。
内水氾濫の事前準備や対策、また今年度の予算にも計上されておりました「内水浸水解析」について、調査の現状と、解析したデータを元に、どのように水害対策をされるのかをお聞かせいただければと思います。
行政からの回答
木曽川、長良川の洪水対策としましては、河川を管理する国土交通省において治水ダム事業のほか河川の流下能力を阻害する樹木の伐開や洪水時の水位を低下させるための河道の掘削などが計画的に進められています。
また、河川の増水時には、国土交通省及び市水防団と連携し、堤防等のパトロールを行い異常個所の早期発見に努めています。
なお、木曽川、長良川の決壊、溢水に関する洪水ハザードマップについては、市民の皆様が普段から浸水被害の備えとして活用いただけるよう、市ホームページに掲載するとともに、市内全戸に配布しています。
将来、道路冠水が懸念される地域への土のうステーションの増設は?
土嚢ステーションの設置場所の要件として「過去に道路冠水などの実績がある個所」とのことでしたが、昨今の市内における宅地化を考慮した場合に過去に冠水実績が無いから安全とは言い切れません。
今回、内水氾濫について調査研究をしていた際に確認された資料、文献になりますが、宅地化による豪雨災害における脆弱性について記述がありましたのでご紹介させていただきます。
「樹林地・草地・畑・水田などは,雨水を地表面上へ一時貯留し,また地中へ浸透させる働きを持っています。これが市街地化されると,流域の雨水貯留能力が大きく低下します。また市街地化は,屋根の占める面積の増大や道路・駐車場等の舗装などによって雨水が浸透しにくい土地の面積割合を大きくします。整地・路面舗装・側溝などは雨水流に対する地表面抵抗(粗度)を非常に小さくして流速を大きくします。このような地表面貯留および地中浸透の減少,表面粗度の低下という雨水流出条件の変化によって,降雨の流出率(降った雨の量に対する流れ出た水の量の割合)が増加し,また流れが速くなって周りから低い土地に短時間で集ってくるようになります.新設の道路などの構造物が流れを妨げて新たな排水不良地を出現させることもあります.本市においても転入の多い地区においては住宅が増えており、このような豪雨災害における脆弱性が考えられます。」とのことでした。
参考:防災基礎講座 災害事例編:7. 内水氾濫の常襲地は雨水を貯留して洪水を抑制する役割の土地-2000年東海豪雨,1958年狩野川台風による首都圏内水災害など – 防災科学技術研究所 (bosai.go.jp)
そこで、再度質問させていただきますが、土嚢ステーションについて各自治会から新規での設置について要望があった場合にどのように対応されるのかをお聞かせください
行政からの回答
一定規模以上の開発行為や土地区画整理事業などの都市化に伴う雨水流出量の増加については、調整池の設置により雨水流出の増加を抑制することとされていますが、それ以外にも都市建設や土地利用の変化により、新たに道路冠水が懸念されるような地域についても、排水施設や土地の状況を鑑み必要に応じ、土のうステーションの設置を検討してまいります。
過去に実績が無くても、昨今の雨水量などを背景に土のうステーション設置について検討いただけます。自治体での防災を検討する際にはこちらもご検討くださいね。
豪雨災害における外水氾濫の事前準備と対策は?
先ほどもお話しさせていただいた通り、近年、集中豪雨の発生頻度は増加傾向にあります。
先日、5月28日(火)から29日(水)にかけて降った大雨の影響による長良川増水により、市内のある揚水機場が冠水し、ポンプが故障されたとのお話しもお聞きしております。
一級河川の木曽川、長良川に挟まれた地形にある本市において外水氾濫の事前計画と対策についてお聞かせいただけますでしょうか。
行政からの回答
木曽川、長良川の洪水対策としましては、河川を管理する国土交通省において治水ダム事業のほか河川の流下能力を阻害する樹木の伐開や洪水時の水位を低下させるための河道の掘削などが計画的に進められています。
また、河川の増水時には、国土交通省及び市水防団と連携し、堤防等のパトロールを行い異常個所の早期発見に努めています。
なお、木曽川、長良川の決壊、溢水に関する洪水ハザードマップについては、市民の皆様が普段から浸水被害の備えとして活用いただけるよう、市ホームページに掲載するとともに、市内全戸に配布しています。
お住まいの地域の危険個所を知るためにも是非この機会にハザードマップをご確認ください。
お手元にない方はコチラからどうぞ。
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