視察報告:栃木市「蔵の街」に学ぶ歴史的街並みと空き家活用のヒント

活動報告

歴史的街並み・伝統的建造物の保全と活用に向けて

10月23日、栃木県栃木市にて、歴史的街並み・伝統的建造物の保全と活用にについて視察を行いました。
説明は、栃木市地域振興部 蔵の街課 重伝建係 の担当職員の方々より行われました。
この度はお忙しい中、お時間頂戴しありがとうございました。

視察内容

栃木市は、昭和54年に全国に先駆けて歴史的街並みの調査を開始し、行政と住民が協働して長期的にまちづくりを進めてきた都市です。
戦災を免れ、蔵造りの町並みが多く残ったことを契機に、昭和60年代から「蔵の街」としての方向性を明確化し、平成以降は条例や補助制度、景観整備計画などを整えながら、段階的に保存・活用の仕組みを築いてきました。

平成23年には「保存条例」を制定、翌年には嘉右衛門町が伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)として国の指定を受け、現在では国認定の「歴史的風致維持向上計画」も推進されています。

保存と活用を両輪とする仕組みづくり、空き家を再生した新規出店支援、景観に配慮した建築補助、税制優遇など、住民主体のまちづくりと制度支援が有機的に結びついた先進事例といえます。

羽島市がすぐに取り組むべき事業とその課題

今回の視察で最も印象的だったのは、「行政主導」ではなく「市民協働」で20年、30年という長期スパンでまちの価値を育ててきた点です。

羽島市でも竹鼻地区などで歴史的建造物の保全を望む声がある一方、実際に住む人々の理解と合意形成がなされているのかが分からないのが現状となります。

まず必要なのは、「どう残していくのか。どのようにしたいのか」という住民との対話と合意形成であり、その上で伝統的建造物として保全という声があがるのであれば栃木市のように条例や助成制度の整備を検討することが重要です。

将来的に取り組むべき事業と課題

栃木市でも課題として挙げられていたのが、高齢化と空き家の増加です。

建物の老朽化・管理者不在は、羽島市でも共通の課題であり、今後さらに深刻化が予想されます。

栃木市では、空き蔵・空き家を「資源」として再活用するため、建物バンク制度を設け、若者や起業希望者の出店を促進しています。

羽島市でも、空き家を地域資源として捉え直し、古い街並みの有効利用と地域活性化を両立させる取り組みが一つの解決策になるのではと思われます

羽島市への提言

歴史的街並み・伝統的建造物の保全と活用は、短期的な事業ではなく、住民と行政が世代を超えて取り組む「まちの文化形成」です。

竹鼻地区などにおける空き家対策や街並み整備を、単なる老朽家屋対策ではなく、「地域の歴史を継承しながら新たな価値を創出する取組」と位置づけることで、若者や事業者が戻ってくるきっかけとなるかもしれません。

羽島市において、伝統的建造物の保全については賛否分かれる点かも知れませんが、空き家対策と文化的景観の活用を組み合わせた持続可能なまちづくりについては一考に値するのではと思います。

若者が空き家を利活用するための施策として古い街並みを活用することで活性化を図れればと思います。

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