12月16日、岐阜県庁ミナモホールにて開催された「岐阜圏域のまちづくりフォーラム」に参加しました。
岐阜県主導で検討が進むLRT構想を背景に、交通とまちづくりをどう結びつけ、岐阜圏域全体の価値を高めていくのかが議論されたフォーラムです。
知事をはじめ、行政、教育、福祉、商業など多様な立場の方が集い、非常に密度の高い時間となりました。
基調講演:県都岐阜市のまちの姿
岐阜大学工学部教授 山村 嘉史 氏
山村教授の講演で特に印象的だったのは、「賑わい」と「活力」は違うという視点です。
単に人を集めることが目的ではなく、その場所から新たな挑戦や価値が生まれているかどうかが重要であり、活力とは「新しいものを生み出す力」だというお話でした。
街を魅力的にするためには、
・人が集まる基盤
・期待感のある場所
・空間資源のある場所
が必要であり、それがエリア価値を高め、民間投資を呼び込み、結果として自治体の自主財源の増加につながるという好循環が生まれると説明されました。
また、市場の論理(民間の活力)と、統治の論理(計画やルール)を区別し、アクセルとブレーキのバランスを取ることの重要性も強調されました。
「どれだけ人を集めたか」ではなく、「どれだけ活力を生み出せたか」。この視点は、今後の地方都市のまちづくりにおいて欠かせない考え方だと感じました。
基調講演:宇都宮市のライトラインとまちづくり
宇都宮市建設部長 矢野 公久 氏
続く矢野部長からは、宇都宮市のLRT「ライトライン」事業について、導入に至るまでの30年に及ぶ議論の積み重ねと、開業後の具体的な成果が紹介されました。
交通渋滞対策として検討が始まったLRTですが、結果として
・利用者数の増加
・沿線人口や地価の上昇
・民間投資の誘発
・車依存の低減
といった、まち全体に波及する効果が生まれています。
特に印象的だったのは、市長自らが900回以上、市民に説明を重ね、理解と納得を得てきたという点です。
LRTは単なる交通事業ではなく、まちの将来像を共有するための「対話のプロセス」そのものだったことが伝わってきました。
交通は目的ではなく、まちの未来を実現するための「手段」。
この考え方は、岐阜圏域、そして羽島市を考える上でも大きな示唆を与えてくれました。

パネルディスカッション
パネルディスカッションでは、教育、福祉、商業、デザインなど多様な立場から意見が交わされました。
共通していたのは、「誰もが使いやすい公共交通」「挑戦を寛容に受け止める地域」「長く住み続けたいと思える居場所づくり」が、まちの持続可能性に直結するという点です。
特に、
・子どもや高齢者、障がいのある方も自立して移動できること
・移動のしやすさが学びや挑戦、経済活動を支えること
・交通の変化が、街を“点”ではなく“面”としてつなぐきっかけになること
といった意見は、交通政策を単独で考えるのではなく、まちづくり全体として捉える必要性を改めて感じさせるものでした。
所感
今回のフォーラムは、岐阜県がLRT構想を通じて「県全体の未来像」を問いかけている場であったと感じています。
だからこそ、羽島市としても「様子を見る」「決まるのを待つ」のではなく、どう関わり、どう活かすのかを主体的に考える必要があります。
民間投資をどう呼び込み、活力をどう生み出すのか。
そのために市場の論理と統治の論理をどう組み合わせるのか。
今回のお話を聞き、ただ待っているだけではいけないと強く感じました。
岐阜県主導の取り組みだからこそ、羽島市としての戦略と意思が問われます。
今後も先進事例と現場の声に学びながら、羽島市にとって本当に有益な形を具体的に描き、提案し、行動していきます。


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