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【中濃十市議会議長会議員研修会】主権者教育と地方議会について学ぶ

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2025年11月10日、文化センターみのぎくホールにて開催された「中濃十市議会議長会議員研修会」に参加しました。
今回の演題は 「主権者教育と地方議会」

講師には株式会社第一生命経済研究所 主任研究員の西野偉彦氏をお迎えし、全国の先進事例や今後の方向性について学びました。

主権者教育とは何か

西野氏はまず、「投票率を上げることだけが主権者教育ではない」と指摘。
国や社会の課題を自分ごととして捉え、考え、判断し、行動できる人を育てる教育こそが主権者教育の本質であると語りました。

特に、学校教育の現場では「政治の仕組み(国会の定数や三権分立)」は学ぶ一方で、
「政治の中身(法律や公約、政策)」を議論する機会が少ないことが課題だと述べられました。


仕組みを理解しても、何を基準に誰に投票するのかが分からない。
この“中身の教育”が欠けているという現状が課題になるとのお話しでした。

若年層の投票率と意識の変化

2016年の参院選から18歳選挙権が導入されましたが、18歳の投票率は約50%、19歳では約40%と依然として全国平均から比較し低水準です。

ただし、2021年にはコロナ禍による休校や政策の影響を肌で感じたZ世代を中心に、政治への関心が一時的に高まる“V字回復”が見られたとのことです。

若い世代も政治への関心自体は他世代と大きく変わらないものの、「関心はあるが行動に結びつかない」という層が存在しています。
この層へのアプローチが若者の選挙行動についての今後の鍵となりそうですね。

全国の主権者教育の現状

文部科学省の調査(2022年度)によると、全国の99.4%の高校で主権者教育を実施しています。
しかし、その内容は「選挙の仕組み」など制度的な理解に偏っており、模擬選挙や政策討論など「体験的な学び」は十分とは言えないとのことでした。

これより、先進事例について簡単にご紹介させていただきます。

先進的な取り組み事例

① 神奈川県・湘南台高校「模擬議会」

神奈川県では2011年度から「シチズンシップ教育」を導入。
湘南台高校では、消費税や再エネ政策など実際のテーマで模擬議会を実施しています。
授業後のアンケートでは、政策決定には多くの議論と時間が必要だと実感した生徒が増加
実践を通じて“政治が自分に関わる”ことを体感する好例です。

② 藤沢市議会と高校の連携

藤沢市議会と湘南台高校は連携し、「ソーシャルデザイン」授業の中で地域課題を議論。
生徒が自ら陳情書を作成し、「#ふじキュン課」という若者の意見を市政に反映する仕組みが実現しました。

③ 生徒会活動を通じた主権者教育

滋賀県栗東市では、生徒が学校運営に主体的に関わる仕組みを構築。
体育祭の企画から制服検討まで、生徒と教員が対等に議論して決定する“新しい生徒会”を実現しています。

広がる主権者教育の輪

主権者教育は高校・大学だけでなく、小中学校にも広がりを見せています。
神奈川県では「政治的教養を育む教育」の検討会議を設置。
また、東京都選管は「MY争点オンライン」というウェブ教材を公開し、
自分の関心と政策を照らし合わせながら考える機会を提供しています。

政治的中立性をどう守るか

政治的中立性を確保するための原則として、ドイツの三原則が紹介されました。

  1. 教員の意見で生徒の判断を圧倒してはならない
  2. 論争のある話題は授業でもそのように扱う
  3. 生徒が自らの関心・利害に基づいて判断できるよう支援する

「ポジティブ&シンプルに」中立性を確保する工夫が求められます。

所感

18歳選挙権の導入から約10年。
投票率を上げるには、仕組みを教えるだけではなく、政治の中身を学び、議論する教育が欠かせません。
そのためには、高校だけでなく小中学校段階から主権者教育を進め、教育委員会・選挙管理委員会・議会が連携して推進していくことが必要です。

また、今回の研修を通して改めて感じたのは、主権者教育の本質は「自ら考え、判断し、行動する力」を育むことにあります。
これは選挙に限った話ではなく、自らの人生を主体的に生きる“能動的な人材”を育てる教育そのものだと思います。

市民一人ひとりが社会の一員として自分の考えを持ち、行動できるようになることこそ、地域を豊かにする第一歩です。
今回のような意義あるテーマを研修に選んでいただいたことに感謝申し上げるとともに、私自身もこの価値観を市民の皆様と共有し、地域における主権者教育の在り方を考えていきたいと思います。

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